[読書メモ]『だれでもわかるイスラーム 入門編』

Hitoshi Arakawa | 2025/05/15 Thu 04:33

p4
イスラーム世界にはそういう内省のきっかけがない。

p19
フランス人はこういう時、“アロズーアロゼ” って言うね。水撒き人が水をかぶっちゃったと。

p27
テロ自体のアイデアを商業主義で世界中にばらまいていてきたのは、やっぱりアメリカなんだよ。

p27
映画のつくり方が「リワインド・ムーヴィー」といって巻き戻しでできているわけ。

p34
それに対する報復の攻撃はどこまで正当化されうるのか。

p35
イスラームは、[…]入信自体が至って簡単であり、個々の信者と神の間を仲介する聖職者が存在しないために、その後の生きざまについて他人から干渉を受けることは少しもない。

p45
イスラームは分からない、分かりにくい、とよく言われる。/私見によれば、それは次の二つの理由がある。第一に、我々の抱く宗教観でイスラームを理解しようとするから。第二に、イスラームのなかの分かりやすい部分を見ようとしないから、である。

p56
理由は簡単である。「イスラム原理主義」がそのレッテルと中身が一致しない以上、「イスラム原理主義」という用語自体は怪しげだとみなさざるをえないからだ。

p91
ターリバーンは前時代的な組織に見えるが、実は、それは近代の枠組みを超える存在であるということを自覚しなければならない。ターリバーンはその意味で、古くて新しい存在であるといえよう。

p92
「英雄」あるいは「精神的指導者」

p108
ウサーマをテロリストとみなすか否かは、ウサーマが本質的にどんな人間であるのかという点にではなっく、ウサーマについて語る者の価値観に依存する。

pp114-115
過去の教義や規範がどんなに素晴らしいものでも、それをそのまま現在に適用することなど、時をとめないかぎり、不可能である。絶対にだ。/理論的にいえば、原理主義者は、不可能なことを要求するのである。実践的にいえば、かならず失敗することを要求するのである。

p118
革命の輸出とは何か。解放戦争の別名に他ならない。戦争を起こすことが革命運動の本義である。

p121
報復は報復を招く。憎しみだけを残し、問題の根本的な解決にならない。

p128
米国軍のアフガン駐留は火薬庫の内でたき火をするようなものである。

p140
米国への憎悪、イスラム意識の高揚、暴力の連鎖、テロリズムへの傾斜。すべての答えは、20 世紀の歴史を紐解くことでしか得られないのだ。

p142
国家政策上ヴェールが義務づけられている国(イラン、サウジアラビア、パキスタン、スーダンなど)、慣習的なコントロールが厳しくほとんどみな着用している国(アフガニスタン、バングラディシュなど)、個人の選択に委ねられている国(トルコ、アラブ首長国連邦、エジプト、チュニジアなど)などに区別される。ヴェールは一見普遍的に見えても、実は制度も実際の着用のされかたも多様である。

p143
社会を民主化させるためには、「両方向的なアプローチ」が必要であるという。

p146
ヘジャブの効用は、日よけ、砂よけ、セクハラの防止などさまざまであるが、なかでも重要なのは「身分隠し」である。特にチャドルはみごとに「身分隠し」ができる。

p146
イランでは、革命後女性はヴェールを社会進出のツールとして活用してきた麺もある。女性が公的空間に出るときは、ヴェールを着けていなければならないが、逆に着ている限りにおいては、男性と肩を並べて教育を受けることも、仕事をすることも可能になる。

p156
もともと、日本人は対人恐怖は存在しても対神恐怖が全くない。

p156
実は、イスラームにおける信仰とは端的に恐怖なのだ。それをアラビア語で「タクワー」と呼んでいるが、これがなければすべてがないと言われるほどに基本的な信仰概念なのである。

p167
戦争に後方も前方もないのに、自衛隊が後方支援で出て行ったから、日本もはっきりとテロ攻撃の対象になります。

p176
パキスタンは国民の 97% がイスラーム教徒といわれ、イスラーム教徒のつくる主要な国の一つである。

p178
イスラームといえば砂漠の宗教、というイメージを持つ人が多いのではないだろうか。しかし実際にはイスラームは、南はインドネシアやアフリカの熱帯から、北はロシアの氷雪の地域まで広がる、文字通りの世界宗教である。

p189
どれだけイスラム教徒かかわりを持っているかとなれば、これまた濃淡の幅があまりに広い。

p190
明日を生きる希望を求めて街に出てきた人々は、はじめて知る豊かさや洗練の前に、自分たちが生きてきた小宇宙の価値を、すべて否定されたようなショックにさいなまれる。

p193
イスラエルというのは都合よいカテゴライゼーションなんです。すごく関心を集めやすいんです。イスラエル人とかユダヤ人とか言ったら、それは世界中のユダヤ教の人たちがそういう一つのフレームの中に入るということですよね。

p195
戦争が問題を解決するのかと疑問を持つべきだと思うんです。問題のもとを直していないと。

p205
飲食を断つことで、貧しい人への思いやりの心と忍耐力を養い、祈りを通じて自らを省みる。ムスリム同士の連帯感が高まる時でもある。

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