私のマルクス (文春学藝ライブラリー) | 佐藤 優 | 宗教入門 | Kindleストア | Amazon
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最初は普通に Kindle 端末で読んでいたが、途中から iPad の読み上げ機能で聴いた。
評価:4/5
以下読書メモ(Kindle 端末で読んでいた部分)。
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Location: 120
マルクス経済学を学んでもマルクス主義者になる必要はまったくない。資本主義システムの内在的論理と限界を知ることが重要なのだ。人間は、限界がどこにあるかわからない事物に取り組むときに恐れや不安を感じる。時代を見る眼から恐れと不安を除去するために二十一世紀初頭のこの時点で『資本論』を中心にマルクスの言説と本格的に取り組む意味があるのだ。
Location: 170
キリスト教の神の特徴は受肉にある。神が神であることに安住せずに人になるのである。
Location: 245
ドイツ人はユダヤ人に対しては常に頭を下げ続けている。しかし、腹の中でドイツ人が何を考えているかはわからない。
Location: 432
知識を徹底的に詰め込むと、ある段階から知識自体が動き出し、自分の頭で考え始めるようになることを私は学習塾で体得した。
Location: 458
ただ、組織に所属することは慎重にした方がよい。自由に物事を考えることができなくなる[。]
Location: 466
人間は誰にも逃げなくてはならないようなときがある。そのとき重要なのは『俺は逃げた』ということを正確に記憶しておくことだ。逃げたのに闘っていると誤魔化すのがいちばんいけない[。]
Location: 539
事実、この旅行がなかったならば、私がマルクス主義に関心をもつこともなく、神学部に進み、プロテスタント神学を専攻し、更に外交官になることも、そして外交官になってモスクワに赴任してからもロシア人に偏見をもたずに人脈を拡大することにもならなかったと思う。この旅行が深いところで私の世界観に影響を与えたことは間違いない。
Location: 655
高校一年生の私が見たソ連・東欧は人々がイデオロギーに関心をもたず、日常生活の「小さな物語」を中心に生きていく安定した社会だった。
Location: 659
結局、人間は環境への順応能力が高い保守的動物なので、どのような体制にでも適応して、それなりに快適な環境を作っていくということなのだと思う。そして、この環境から作られる文化に人々は愛着をもつ。
Location: 901
酒と食事とバカンスだけを保証すれば、国民は体制に不満をもたないという一種の愚民政策だ[。]
Location: 937
後にソ連・東欧の事情を知るようになってわかったことだが、社会主義国の語学教育は、外国に留学しないことを前提にカリキュラムが組み立てられているので、訪日歴がなくても日本語を上手に操る人が結構いる。
Location: 1,006
浦高文芸部には文才のある連中がそろっていた。自分の考えていることをできるだけ正確に文章にすることに必死になっているのだ。また、高校の授業や大学受験から逃避するのではなく、そのようなことが無価値であると心底確信している。
Location: 1,043
いまになって考えるとこれは社会主義の特徴ではなく、将来の知識人予備軍であるヨーロッパの高校生の標準的感覚なのだが、私にはそれが見えなかった。
Location: 1,063
「先生はなぜ大学教師にならなかったのですか」/「大学の中の師弟関係がわずらわしくなったんです。それから、哲学や倫理学は本さえあれば大学にいなくても研究できると思ったからです。あと僕は文章を書くのが遅い。学者向きじゃありません」
Location: 1,157
人が知的に成長して新しい思想を獲得するというのは幻想のように思える。実は、若い頃、いちばん初めに触れた世界観型の体系的思想、要するにこの世界がどのようになっていて、生き死にの原理は何かという思想から人は離れることはできないという考えに私は傾いている。
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